なるべく早期に日常の動作ができるように訓練する


リハビリは大切な医療サービスの一つ。患者の時間は無駄にしない

大事にされている感を出すための工夫は、病院内の至るところに散りばめられている。全室個室にしていることはもちろん、アメニティにも病院らしくない〃気遣いが見える。各部屋には冷蔵庫とベッド、ハンガー付きのクローゼット、洗面台、机が並び、クローゼットの引き出しにはポットとティーカップが備わっている。病院のロゴの入ったバスタオルや時計も各部屋に用意し、ホテル並みのアメニティが一通り揃う。さらに、一筆添えた手紙を置き、花を飾り、毎日のベッドメイキングも欠かさない。

自宅での本番を想定して練習する各部屋にアメニティグッズを揃えたのは、おもてなしという理由だけではない。日常生活の練習を行うためという、医療上の意味合いもある。ハンガーに服をかける、引き出しに下着を入れる、お茶を入れる、机で絵葉書を書く、タオルで手を拭く、その一つひとつの動作を行うことが、実は大切なリハビリなのだ。千里リハビリテーション病院は、一二LDKの住宅がいくつか集まったような設計になっている。

患者は、それぞれの玄関で靴を脱ぎ、廊下、共有のキッチンとリビングを通って自分の部屋に行く。年配の患者が多いため、洋室だけではなく、畳の部屋も用意している。なるべく自宅に近い環境を整えることがねらいだ、「年配の方のリハビリでは、機能的な訓練よりも、まずはどんな形でもいいので家で自分の生活ができるようになることが先決。平行棒の中で歩いている場合じゃないわけです。だって、普段の生活で平行棒を使うことなんてあります?身体的な応用能力の高い人であれば、平行棒で歩ければほかの場所でも歩けます。


プロフェッショナル集団が築いた空間千里リハビリテーション病院のオープンには、医療にかかわる人だけではなく、さまざまな業界のプロフェッショナルなスタッフがかかわっている。

「住まい」としての病院を設計したのが共同建設設計事務所の川島浩孝氏。デザイン性を追求するだけではなく、リハビリプログラムとしての機能もこっそり取り入れた空間を作り上げたのがE-DESIGNの惣那裕樹氏。中庭に、大きさの異なる石を不揃いに置いたり、緩やかな傾斜や蛇行を取り入れた小道を作ったのは、景観の美しさはもちろん、「あえてバリアをつける」という橋本の想いを形にしたものだ。また、アロマティークの中村あつさ氏が参加し、本格的なアロマセラピーを取り入れた。

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